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博士「こんなに、まんじりともしなかったのは初めてじゃわい。」
助手「とにかく世間は許さなくても、僕は許すと言ってるじゃないですか?つまり、世間と僕の意見は違いますよね?つまり、別々のものという事になります、はい、論破。」
博士「その場合の世間は自分の中で構築された概念としての世間なのじゃから、例えば、良識的な自分と本音の自分が違うけど、同じ自分であるのと同じように、同じ君のなかの違う意見なのじゃ…はい、論破返し。」
助手「はあ?世間は世間、僕は僕!どぅーゆーあんだーすてーーん?」
博士「のーのー!世間は概念なのよー!君の中の!」
助手「じゃあ、僕の中に世間があるの?」
博士「そうじゃ!」
助手「クックックッ…。あーはっはっハッハッハ!!」
博士「どうしたのじゃ!」
助手「いやあ、失敬失敬、貴殿があまりにも突飛な事を申すゆえ、我慢ならなくなってなぁ…。」
助手は自陣に構える戦国の大将の様にパイプ椅子にどっかと座ると博士を睨んだ。
助手「二言はないな…?」
博士「二言は………ない。」
博士は恐ろしい助手の雰囲気に飲まれてゴクリと唾を飲んだ。
助手「二言は………ないのじゃな?」
博士「二言は…………ない。」
二人の間に見えない風が吹いているようだ。
西部劇のガンマンがどちらが先に銃を抜くか、わからないという緊張感が走った。
助手「ににに……にににに。」
博士「ごごご……ごごごごごご。」
しばらく睨み合った後に助手がポツリと言った。
助手「ジョジョかよ。」
博士はそれを聞いてクスリと笑った。
お互いの健闘を称える様に。
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