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そこにあったのは、小さな小さな新しいいのちでした。
そのわれた石の中から、赤・青・黄・白・黒・クリーム・とうめい色など、色あざやかに光りかがやく小さな丸いつぶが出てきたのです。
せいかくに言うと、いのちのリサイクルの、新たなかたちでした。
つまり、せんねんサンゴの生まれ変わりの小さなプラヌラようせいが、いっせいにすがたをあらわし、元気に“ねがいだまりの海”をおよぎまわったのでした。
そのすがたをタツコは満足げに笑みをうかべながらながめており、小さな声で、しかししっかりと、“おかえり”と言ったのでした。
すると、どこからともなく、世界中にひびくような美しくたくましい声で、“ただいま、ありがとう”と返事がくるのを、ラーシェもたしかに聞いたのです。
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