消えた想い

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再び意識がもどった時には… 頭の中に白い霧が充満していた。 「………」 「……じょ…」 「だ…い…」 「…大丈夫?」 朦朧とする意識の中、 段々と人の言葉が耳に入って来た… 頭の中の白い霧が邪魔して、理解するのに時間が掛かったが何とか… 「大丈夫です…」 の一言を告げる事が出来た… 朧に見えた女の子の顔が優しく微笑み… 「良かった~!」 と、安堵の声に変わった。 「わたしはアナト、あなたの名前は?」 ふただび白い霧が頭の中を充満していく… 「…」 「……」 「………バアル?」 「バアル…」 霧の隙間からようやく自分の名前を思い出した! 「バアル!素敵な名前ね!!」 アナトが大きな目をより大きくして喜んでくれた。 「あなたの髪は、豊穣祭でみた黄金色の稲穂みたいに綺麗に光るのね!」 と、僕の頭を優しく撫でた。 君の髪こそ… 「真っ暗な夜を照らす満月の光のように、綺麗な銀髪ですよ…」 って伝えたかった所で、また意識が遠のいてしまった…
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