第1章

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「……」 店長の言葉は正論だ。確かめずに彼とのことを遮断して自己完結しようとしてるんだ もし本当に彼女じゃなかったら… 私は高村くんに対して最低なことをしてるんだ 「引っ越すのは彼の説明を聞いてからでも遅くないよ。」 「そ、そうですね。 けれど、私が拒否したから高村くん会ってくれないかも…。」 「きっとまた会いに来るよ。 何で彼はあの部屋を借りたままにしてると思う?」 「…素の自分に帰るため?」 「それもあるだろうけど、夕貴ちゃんに会うためだよ。」 優しい眼差しを向けながら話す店長 彼は私の知らない高村くんを知ってるんだ。 「私に…? 彼があのマンションに私がいることを知ったのは最近ですよ。」 「それは夕貴ちゃんにあったのがでしょ? 優人はね、思い出の夕貴ちゃん会うため借りてたんだ。 仕事が休みになったら帰ってきて、あの部屋での思い出に浸ってたんだよ。 ずっと君に恋してたんだ。」 1ヶ月前に彼と再開し部屋にも来てくれたけど、少しよそよそしさを感じて寂しくなった。 もっと話したかったのに、高村くんはあっさり帰っていった。 そんな彼が私をずっと思ってたなんて… 「ホントにそうなのかな? 先月マンションで6年ぶりに会って、家に訪ねて来てくれたけど…寂しいくらいあっさり帰って行ったんですよ。 だから私… もう彼は私のことを友達のように思ってるんだと…」 まだ腑に落ちなくて考え込む私に店長は呆れたようにため息をついた。
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