第1章

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山口先生がすべての支払いを終え、店を出た所で 「女性は二千円でお願いします。」 「え、それじゃあ山口先生の手出しが多過ぎます。」 「いいんですよ、僕の方が年上だし男だし、そこは僕のメンツを立ててくださいよ。」 「そうですか、じゃ遠慮なく。」 二千円を差し出す高橋先生。 山口先生の手出しが五千円近くになることに心苦しくなりながら 「ありがとうございます。」 お礼を言って二千円を渡した。 「いえいえ、どういたしまして。」 どこまでもスマートで大人な振る舞い 笑みを浮かべながら聞いてくれて、安心して話せる 穏やかで優しくて… 山口先生は本当に素敵な人だ。 高橋先生が惹かれるのも納得出来る。 ハートが浮いていそうな目で話しかける高橋先生の邪魔をしないように、聞かれたときだけ話に加わるようにしていた。 私に話を振るのは山口先生で、そんな気遣いはしないでいいのにと思いつつ、家のあるクリーム色のマンションに三人で向かった。
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