第1章

21/33
前へ
/33ページ
次へ
「あははは…山口先生、浅井先生を落とすのは時間がかかりそうですね?」 「大丈夫です、僕は粘り強いですから…。 浅井先生、お手柔らかにお願いしますね。」 「もー、訳がわからないです。急に二人とも変なこと言い出して… 私は寝ますから、お二人で仲良く飲みにいってください。」 「浅井先生、また来週会えるのを楽しみにしてますね。」 ドア越しに話していると、山口先生が手を伸ばして私の手を握った。 大きいけどしなやかな温かい手に思わずドキッと胸が跳ねた。 「山口先生、私の前でイチャイチャしないでくださいよ。」 高橋先生に手を離され、山口先生は悲しそうな顔になった。 「さ、さ、今日は私の相手してもらえるんでしょ? 今夜の山口先生は私のものね、浅井先生。」 「はいはい、おやすみなさい。」 高橋先生に引きずられるようにエレベーターに歩を進めながら、山口先生は何度も振り返っていたが、扉の中に高橋先生と消えていった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加