第1章

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お風呂から上がって、寝る準備をテキパキして余計なことを考えないようにひたすら手を動かした。 ベッドに入って電気を消そうとした時 ピンポーン 突然のチャイムの音が部屋に響いた。 家具の上の置時計は11時半を指している。 こんな時間に誰だろう。 ベッドを降りて部屋の入り口のモニターを見ると、何も映ってない。 ということは、押されたのは家の前のチャイムだ。 考えられるのは唯一人… 今は会いたくない人だ。 「はい。」 『夕貴? 遅い時間にごめん。』 「こんな夜遅く何のご用でしょうか? 今から寝るところですが…」 先程の親密な二人の姿がまた浮かんだ。 考えたくなかったのに このまま忘れたかったのに… 高村くんは一体どうしたいの? 私に彼女ができた報告でもしたいの? 高村くんは私がまだ好きだということを知らないんだ。友達だと思って好きな人が出来た報告でもしたいのかもしれない。 そんなの聞きたくない 報告なんていらない 苦しいだけだ 『ごめん、どうしても今夜話したいんだ。 二人きりが嫌だったら外で話してもいいんだけど。』 「話すことはないです。 もう私に構わないでください。私たちは別れたんです。貴方に恋人がいようと私にはもう関係がないんです。 彼女ができたなら、もう私のところに来ないでください。 これ以上苦しみたくないんです。」 『俺が夕貴を苦しめるの? それってまだ俺のことが好きってことじゃないの?』 「ち、違います。私は…」 『好きだよ。夕貴のことずっとずっと好きだよ。』 何を言ってるんだろう。あんなに仲良く女性を抱き寄せて歩いていたくせに… 私が見てないとでも思ってるの?
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