第1章

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「嘘つき! 嘘つきは嫌い。彼女がいるのに私に嘘をついて… 高村くんは一体何をしたいの?」 『あの子は彼女じゃないよ。誤解を解きたい。ここじゃ声が響くから、家が嫌なら外で話さない?』 「ごめんなさい、もう寝るところだから…失礼します。」 『夕貴のバカ!』 インターホンを切る瞬間、高村くんの苛立った声が聞こえた。 廊下から足音が聞こえ、だんだん遠ざかっていった。 落ち着いていた胸の軋みがまた始まった。 締め付けられるような胸の痛みが消えてくれない。 寝ようとするのに …夕貴のバカ… 高村くんが最後に残した言葉が何度もリフレインして眠れそうにない。 なんで今ごろ来るの? 高村くんが恋人を作ろうと何をしようと自由なのに… 誤解を解きたいってあの人は彼女じゃないの? 彼女じゃなくてもあんなに寄り添えるの? あんなの見て好きだなんて言われても信じられないよ 私と会っても触れてもくれなかったくせに… 大人っぽくて綺麗で、私よりずっと高村くんにお似合いじゃない。
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