第1章

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駅前の不動産屋に行き、めぼしい物件をいくつか紹介してもらった。 そのどれもが今住んでいる物件に比べると金額が高かったり、一階だったりセキュリティが無かったりで気に入らないものばかり。 決められないまま『また来ます』と店を後にして、久々に駅前に来たのでCHACHAに寄ることにした。 近くに住んでいても学校と家の往復で、休みの日は授業の資料作りや家事て出掛けることが少ない。 挨拶に行かなきゃと思いつつ、引っ越してきてからまだ一度もChachaに行っていない。 駅前商店街の一角、見慣れたドアを開けてディスプレイを眺めながら店内に入っていくと、店長は接客中だった。 「夕貴ちゃんいらっしゃい、ちょっと待っててね。」 相変わらず細身でイケメンの店長 前にいるお客さんは20代前半の女性 顔を赤らめて店長を見つめている。 さすが店長、彼がいる限りこの店は安泰だ。 商業地と言うほどでもないここで長くやってられるのは、彼のセンスが半分と彼の魅力が半分で成り立ってるんだ。 素敵な笑顔の店長に笑顔で 「はい、服を見て待ってます。」 そう告げて、涼しそうなノースリーブのブラウスやカットソー等、学校に着ていけそうな服を物色することにした。 程なく接客を終えた店長が、満面の笑みを浮かべてやってきた。
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