第1章

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「僕は次の授業までにすればいいと思ってるから、ユックリやってます。 二人とも真面目ですね。頑張りすぎると息切れしますよ。」 大人な山口先生に言われるとその通りだなと思える。 3歳差で社会に出た経験もある山口先生は、新卒には無い落ち着きと頼もしさを感じる。 店員がビールとお通しと注文したつまみをテーブルに並べた。 「じゃ、先ずは乾杯しましょう。 同期三人の活躍を祈ってカンパーイ!」 「「カンパーイ」」 カチン、カチンとグラスを合わせてビールを一口飲んだ。 乾杯の時だけビールを頼むけど、あまり美味しく感じない。 苦味に思わず眉間に皺が寄った。 高橋先生と山口先生はグビグビと数口飲んで美味しそうに溜め息を吐いた。 「山口先生は教師の前はどんな仕事をされてたんですか?」 高橋先生が興味津々の目を向ける。 「lT関係の会社です。仕事は好きだったんですが、夜昼関係なく仕事漬けで心身のバランスを崩して働けなくなってしまったんです。」
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