第1章

9/33
前へ
/33ページ
次へ
「数ヶ月連絡もせず、ほったらかしたのは僕ですから。 正直あの時は自分のことで精一杯で、彼女から連絡がこないことにホッとしてました。 お互いそこまでの気持ちが無かったんでしょうね。 ところで浅井先生は誰かに似てないですかね。」 突然の高橋先生の切り返しに胸がドキッと大きく脈打った。 モデルをやってる頃からそんな指摘は初めてだ。山口先生は侮れない。 「え、言われたこと無いですよ。芸能人ですか?」 「浅井先生はどこにでもいそうな感じの方ですもの、似てる人は一杯いますよ。」 高橋先生の指摘は痛いところを突いている。どこにでもいそうな特徴の無い地味なタイプが私だ。 自覚はあるだけにチョッピリ傷ついたけれど顔には出せない。 「ははは、十人並みですから。」 「イヤ、その骨格、唇の形… 僕は見覚えがあります。」 「その似てる人がどこにいたんです?」 興味無さそうに気の無い質問をする高橋先生。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加