1章 鉄の街

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「ありがとう…もう目が見えなくて」 女性は僕の方を向いてはいなかった。 ダメだなこれは。使えそうにない。 まぁ、片足がないから戦場でも足でまといになるだろうな。 僕が治す価値もない。 「治療、始めますね。」 ぶっきらぼうに僕は言う。 レンガを握りやすく持ち直して、僕は彼女の頭めがけて思いっきり振り下ろした。 何度も何度も。 悲鳴はなかった。出す気力もないのだろう。 うめき声が止む頃には、レンガもボロボロに壊れていた。 「あぁっ、まったく、汚いなぁ」 顔中に返り血やら肉片やらで汚れてしまった。 女性はもうすでに人ではなく物に変わっている。 人だった物に。 僕は怒りを込めて彼女の頭を蹴り飛ばした。 「こんな格好じゃ勉強会にいけないじゃないか。」 顔を拭って、周りを見ると向こうに人だかりができていた。 大きな布も見えた。 「あれは…。パラシュートかな…」 考えるより先に僕は走り出していた。
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