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春になり、僕は大学三年になり莉奈は高校二年に。
今年は夏から会えなくなることもあって心中は穏やかではない。
なんせ、莉奈はどんどんと可愛くしかも綺麗になっていく。
つい最近まであどけない少女の顔しか見せていなかったのに
ふとした瞬間に大人の女性の顔を覗かせることがあって
そんな莉奈の免疫のない僕は胸をドキッ、と弾ませる。
これが僕だけにならいいけど他の奴に見られるのは嫌だし
ましてや他の男に向けられるなんて以ての外だ。
今は響也が傍にいて
他の男を近づけないようにしてくれているけど
響也が卒業してから僕が帰ってくるまでの半年
誰もガードする人はいないし莉奈に近づき放題だ。
いない間に他の誰とも知らない奴に莉奈を盗られるなら
聡兄との約束なんて無視して
僕の気持ちを莉奈に伝えてしまおうかなんて思ってしまう。
まあ、莉奈が僕を受け入れてくれるかは、どうか分からないけど…
莉奈のことを想うと幸せで嬉しいのに
不安で心配にもなる。
「おっ、どうした?」
「ん?」
「なんか問題でも?」
どうやら大きな溜息をついていたらしく
それに反応して隣に座る達也が声を掛けてきた。
「いや、何も」
ここのところ莉奈のことでウジウジと考えてるんなんてバレたくない。
何でもない、って顔をしてやり過ごそうとしたのに
「ふ~ん、そっかー
何にもないのにそんな顔するんだ」
達也には通用しなかった。
「はっ?そんな顔って
別に普通だけど」
「へ~…」
「な、なんだよ!」
「何でもない、って顔でもないけど」
「…」
「どうせ莉奈のことだろ」
「!」
達也には僕の思考や感情はバレバレらしい。
声を上げて笑いたいのを周りを気にして堪えるようにして笑う
そんな達也の横で僕はいろんな意味で肩を落とした。
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