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澄んだ青空と風は夢だったのかと思える地下室への通路。
あまり頻繁には通いたくないが今の私にはお似合いの上、必要性があると来るしかない。
私は各所からの情報を確認しながらドアを抜ける。
いつ来ても、この重たいだけでは表現しきれない空気は私たちの闇が巣食うにふさわしい場所だ。
「前田、そっちの状況に大きな変化はあったか?」
「大きなのはないな」
さらりと答える前田には隠しも勿体付ける気もなさそう、どちらかと言うと無さ過ぎてつまらない感じ。
「そうか、思った以上に静かね、こっちの揚げ足を取るつもりかも知れない……」
事件以降、もちろん表に出る情報量は増えているけど、ちょっとした興味を惹く事件程度の報道、イマイチのコスパだ。
「誰かの想定内だったとか?」
「全く可能性がないとは言えないけど……」
確かに、あれだけ遊んでたんだ、危機管理ができている組織なら水面下で処理にかかっていたとしてもおかしくないし、そうだとすれば骨折り損っだったの?
「今回は随分慎重だな」
「学校関連は統合話の最中で神経質になっているから下手に動けないんの、こっちの尻尾が掴まれてないのなら事は済んだようなものだけど……」
「とりあえずネットワークの攻撃は通常レベルだから、こっちの尻尾を追ってる気配もないな」
「だといいけれど」
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