03.

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 どうしてこんなことになったのだろう。  桃香と彼を引き合わせたのは私だった。 「あずの彼を見てみたい」という名目で開催された飲み会は、私と彼と、彼の友人の四人で開催された。  既婚者と関係を続けながらも、手頃な「彼氏」を短期間で変えていた桃香は、あっという間にその友人と付き合った。友人の肩書は国家公務員で、もちろん、当時会計士浪人を重ねていた彼のことなど、桃香は歯牙にもかけなかった。  にも関わらず、彼の積年の努力が実り、試験に合格したことをSNSに掲げた時に、真っ先にメッセージをつけたのは桃香だった。 「桃香ちゃん、いい子だね」  まんざらでもなさそうに彼が言った時から、どことなく悪い予感は立ち込めていた。  だから、私と別れたばかりの彼が桃香と付き合いだしたと聞いた時も、思ったほどの衝撃は受けなかった。  可哀想な彼は哀れにも桃香に消費され、雑巾のように捨てられるに違いなかった。私は彼を抱きとめる準備をして、その時を待っていた。
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