03.

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 けれど二人の交際はトントン拍子に進み、一年もしないうちに結婚が決まった。大方、周りの結婚ラッシュに焦った桃香が、物事を決められない彼を強引に押し切ったのだろう。   うまくいくはずがなかった。「隆一、どう?」と聞いて、「あー、優しいし。いい人だよね」と返す桃香と、彼が。  彼はもっと、虚栄心にまみれて、そのくせ臆病で、どこまでも子どもで、脆い。  そんな彼と、桃香なんか。  柔らかなシルクフラワーにワイヤリングをして作ったラウンドブーケは、フラワーテープを巻き終わり、あとはリボンをかけるのみとなっていた。 「ごめん、仕事が忙しくて。ブーケ渡すのは式の前日……土曜日でもいい?」  返信を打ち終わると、電車は誰もいないホームへの扉を開いた。カフェインが切れたのか、睡魔は私の背中に突如として覆いかぶさっていた。眠たい身体を引きずりながら、私は家路へと流れていく。
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