02.

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 見過ごせるはずがなかった。彼が贈っただろうエンゲージリングのその下には、桃香が「筒井さん」から過去に贈られた指輪が平然とした顔で座っていたのだ。 「どうして? 明日結婚式でしょ?」 「あー、なんか、外せないんだよね」  エステ帰りの桃香の肌は、スッピンだというのに艷やかな薔薇色をしていた。幸せそうな顔の彼女は、明日になれば最も美しい姿で隆一の隣に立つのだ。  呆然とする私を余所に、桃香は続けた。 「外しちゃったら、今までの自分と決別しなきゃっていうか……」 「指輪に、罪はないし」 「よくない? だって」 「あずだって、そうでしょ?」  耳を疑った。結婚式のブーケを作れと、祝福を強制した桃香が。  今ここで、私にそれを突きつけるのか。 「その一粒パールのネックレス、いっつもしてるじゃん。それリューイチくんが買ってくれたやつでしょ?」
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