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隆一が私にプレゼントなどするはずがない。「あずみの就職祝いに」と入ったジュエリーショップで、彼は難癖をつけて何も選ばなかった。
不倫相手からの指輪を自慢する桃香に「私だって」と啖呵を切った手前、何も買わないわけにはいかなかった。ジュエリーとも呼べない安価なネックレスは、営業スマイルを貼り付けた店員を前に、鼻から抜けたような彼の「いいんじゃない」を頼りに私が自分で買ったものだ。
お前に何がわかる。
目の前が点滅した。こめかみが、脳髄が沸騰しそうだった。
一瞬途切れた意識の先には、肩で息をする私がいた。脂汗が額をつたう。足元には頭から血を流した桃香と、力任せに振り下ろした花瓶の破片が散らばっていた。
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