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細い首元に両手が延びた。白い肌に爪がグイグイと食い込んで、逃げようと波打つ血管を押さえ込む。色白自慢の桃香の顔は、青い血管が浮き出た後に、紫がかった赤色へと染まっていった。
目玉は白黒と目まぐるしく、舌が飛び出ただらしない口からは「ゲェ」といううめき声が絶え間なく流れ出す。お腹を押すと潰れた声で鳴く、アメリカンジョークがきいたおもちゃみたいに。
ビクンと一際大きく身体が跳ねて、目玉がぐるりと回転した。充血した白目から涙を流し、桃香は私を見つめていた。
ああ、やってしまった。
これで桃香は、花嫁にはなれない。
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