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「お、お前は何なんだ!俺をどうするつもりなんだ!?」
黒竜に組み敷かれた竜が叫ぶ。
そう、その目だ。ウタカタは思った。君のその目が見たかったんだ。
「フフッ……。どうするつもりかだって?まだ分からないんだ。幸せな頭だね。羨ましいよ」
ウタカタはそう言って、竜の喉元に鋭い爪を当て、少し押し込んだ。ぷつりと竜の柔らかい皮膚を貫通する感触があり、そこから赤い血が流れた。
大して痛みはないだろうが、恐怖で感覚が鋭くなっているのか竜は体を大きく震わせる。その震えで唾液が溢れ出す。
「君を選んで正解だったなァ。やっぱり、男の竜が一番だねェ」
口の端から漏れた唾液が竜の胸に当たる。
「ひぃっ、まさか、お前……。俺を……!」
「フフッ、やっと気づいた?そうだよ、僕は君を食べようとしているのさ」
ウタカタの言葉を聞き、竜は体を必死にばたつかせ、逃げ出そうとする。しかし、数多の竜を喰らい、力をつけたウタカタの拘束を逃れることは出来なかった。
「大したことないねェ、君。『力』を使うまでも無かったよ。でも、お肉はとても美味しそうだ」
ウタカタは首元に当てていた爪を離し、大きく振りかぶった。竜が怯むのがわかり、愉悦に浸る。
「どこからにしようかなァ……。やっぱここかな?」
「ひィ、やめろ!やめ……グァアアアアアア!!」
素早く振り抜かれた薄灰色の爪は竜の左足をたやすく切り離し、辺りには鮮血が舞った。ウタカタの黒い鱗にも付着し、赤いシミが出来る。
「ア………あぁぁ………」
放心する竜。楽しくなってきたウタカタは竜の目の前で切断した足を振ってみせる。
「フフッ、アハハッ……。美味しそうだねェ。それじゃ、いただきます!」
そう言い、手にした足に太ももからかぶりつく。そこから溢れた血が竜の顔にポタポタと垂れた。口の中に広がる血と肉の味に舌鼓を打ち、竜の様子を眺めた。
しかし残念なことに、竜は既に白目を剥き、身体を震わせながら呻いているだけだった。
「ひぅ………うあ…………」
「もうなんも言えなくなっちゃった?やりすぎちゃったのかねェ……。加減が難しいなァ……」
ウタカタは少し不機嫌になった。ウタカタは竜に自分が見えてないのなら遊ぶ必要も無いと思っていた。
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