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パジャマのお義母さんが、ベッドから足を下ろす。廊下まで見送りしてくれるのだろう。
病室前でしっかり目を合わせて挨拶をする。今日は帰るけど私、約束しますよ。
「また来ますね。」
お義母さんは病室の前に立ち、振り向いても振り向いてもまだ手を振り続けている。
廊下は処置台を転がすナースや夕食のトレイを下膳する患者さんが慌ただしく行き交っていた。立ち竦むお義母さんだけが時の流れに置いてけぼりにされたみたい…
男2人は角を曲がってスタスタ歩いてくんだけど、そんな、お義母さん1人残してあっさり帰っていいの?
堪らず駆け戻って抱きしめた。
小さい身体のお義母さんからも腕が伸びてくる。
大丈夫だから
大丈夫だからね
こんな時、何て言えばいいのか分からない。
でも私にはこれしか浮かばなかった。
気丈なはずのお義母さんが、子どものようにエーンエーンと声を上げて泣いた。
検査入院はまだしばらく続くらしい
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