2.木曜日

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もうっ! また朝っぱらから着信バイブレーションがバッグの中から主張する。 全くもってアキラめー、緊急時以外はメールにしてよね。ただでさえ今日はテンション低い。 完全スルーできないくらい震えっぱなしの端末を、拾い上げてブチ切りするつもりで発信元を見た。 高校から? どうしたセイヤ。熱?知恵熱?年いくつ? 「はい、片山です。」 「今、お電話よろしいですか?」 先生だって私が仕事中と分かってかけてる癖に、いいも悪いもない。遠慮せず早く本題を。 「セイヤくん、今週ずっと学校休んでますけど体調どうかと思いまして。」 はあ? 改めてカレンダーをガン見する。今日はえーと木曜日。 「いやいや先生、体調はいつも通りですし、月曜から毎朝学校へ行かせましたよ?」 だって普通に朝ごはん食べさせて弁当持たせてセイヤを見送ってから出勤したんだもの。まさに寝耳に水です。 「そうですか…事務にお父さんの方から体調不良で欠席と電話いただいたそうなんですが…」 えーっ?!くっそー、アキラめ、母親を差し置いて勝手にコンニャロー! 「申し訳ありません、セイヤ捕まえたらすぐ学校に連れて行きますので!」 勢いで言ってしまった。でもセイヤどこで何やってんだろ。 非行?不登校?逃避行? もしや、ゆ、誘拐? そこに管理部主任としての片山メグが冷めた声で自問する。 あんた、ほんとに仕事放り出して早退する気? デスクを一望した。 会議資料ww月末の売上管理表がまだww 営業からの報告書もまだ全部揃ってないww あークライアントのアポ午後に一件あったww てかおいそこの若いの、仕事PCで水着アイドル眺めてる場合なのっ?! 放り出せないよ。 でも仕事の代わりは頼めても、母親の代わりだけは誰もいない、私しかいないじゃないか。
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