エピローグ~人見知りなラブソング

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「お父さんは素人だけど、あの見解は間違っちゃいなかったね。あくまでばあちゃんのケースでは。」 「へえ。」 「引き出しの言葉をさ。引っ張ってこれないんじゃなくて、引き出しの中身が空っぽになってたって話。」 「ああ。」 「それとお母さん。さっきの返事、オレはお母さんの思う通りでいいと思うけど。」 パスタを平らげたセイヤは紙ナプキンで口の周りを拭き取る。この春から進学先が決まっている。 「セイヤはおばあちゃんの入院がキッカケで進路決めたの?」 「いや?」 「何って聞くとウザい?」 「別に。」 言語聴覚士というその筋の専門家を目指すセイヤは、私の完食を確認するやいなや伝票をつかんで立ち上がった。 「母さんに思い出してほしい言葉があったから。」 「言葉?何の?」 「ほら、今ちょうど歌ってる。自力で思い出せてよかったね。」 セイヤは小さく天井を指差した。 あ。これは。 ミニーリパートンの lovin'you
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