プロローグ~真っ赤な車

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「片山主任、おはようございます。」 「おはよう!」 始業前からみんな次々と出社する、元気なオフィス。 今は主任の私だってもっとキャリアアップしていくつもりだし、会社も頑張りに応えてくれる。と思う。 「水曜日。さ。朝礼やるか。」 部長の一声で皆が席を立ち、気を引き締め、1日のスタートを切った。 …また端末が鳴っている。 どうせアキラでしょ?この後に及んで迷惑かけてくるんだから 朝礼の一連の流れが終わり、即トイレに行くふりをして端末を掴み、廊下に出た。 廊下で他社さんとすれ違い、バツ悪く頭だけ下げてるのは、誰のせいだ。 すかさず主にレスポンス。ただし冷静に、冷静に… 「ちょっと!朝から何なの!コッチは仕事なのよ!」 やっぱ無理。腹立つわ。 「ゴメン、メグ…ただ、お袋が入院したから、言わないと、と思って」 「え?今朝?」 「いや、2日前なんだけど」 何でこうドンくさいのよ。ドンくさいこと、この上無しだ。 「早く言ってよ!なんで今頃…それでお義母さん、どうしたの?」
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