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2.木曜日
今私はオフィスでビジネスメールに目を通している。
新着おおよそ100件の中には一方的な広告も少なくないけれど、中には貴重な情報も紛れているから目を凝らす。
返信すべきはすぐ返信。スピード感も大切。
実際、お義母さんのこともあって微妙に気持ちが上がらなかった。かといって仕事を投げ出す訳にもいかず、少ない労力で集中できるタスクからやっつけるしかなくて。
手を抜くつもりはないのだ。
仕事で役職がつくということは、幾ばくかの手当と引き換えに、責任が課せられるということだもの。
誰かフォローしてくれるといいのになー
そっと正直に漏らしてみたい。
でも甘えた気持ちになってる場合では。喝。
セイヤがずっといい子に育ってくれたおかげで仕事に集中できたからこそ、このポジションがある。
ずっといい子。何をしても泣き止んでくれなかった時期なんて遠い昔の話。あれはまだ生後半年たつ前の、確かこんな、まだ汗ばむ季節だったけど。
だから決して自分1人だけの力じゃない。知ってる。
でも本音じゃ、私だからこそ手に入った、そのくらいのプライドはあってもよくない?
だって、女という漢字は、「妻」「嫁」「娘」とあちこちに出張させられて、「母」に至っては赤ちゃんの食料つまり、おっぱいでしかない。
いろんな役割り持たされてる女が仕事で男と対等にやっていく為には、意図的でないにしろ犠牲にするものがあるに決まってる。
だけど、それを恐れては給料はいただけない。
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