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4.土曜日
日付が替わり、明早く私を駐車場まで送り、爽やかな営業スマイルを残して去った岡田。おかげで我がアパートに無事に辿り着いた。すんでのところで一線を越えずに済んだのは、相手がこの男だったからだろうな、と岡田の株がまた少し上がった。
それはそうと朝帰りのアパートというのは心許ないもので、早くセイヤを迎えに行こうと思った。うかうかして父親ヅラしたアキラにセイヤをとられでもしたら堪ったもんじゃない。
プータローなんかにセイヤは任せらない。そのくせ自分に自信が無い。セイヤは私のこと嫌いなんだろうか。もしセイヤは私とアキラ、どっちが好き?
大人って面白半分で小さい子に簡単に尋ねる。
「お父さんとお母さん、どっちが好き?」
子どもを困らせるために。そして両親のどちらかに恥をかかせる為に。
小さい子の答は周りを和ませるけれど、高校生のセイヤから突きつけられる答はシャレにならない。
もしかしてアキラも私と同じ心配をするだろうか。
だったら働けよな
落とし所が見つかり、車のキーを挿し込んだ。
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