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「いーろーはー!早くこっち、おいでよー!」
すでに自分の受験番号を確認しに行っていたしぃちゃんが私を呼ぶ。そして…
「へいへい。いろは、行くぞー」
「う、うん…!」
くぅ君がしぃちゃんに返事をしてから私の背中を押す。
こういうただのやりとりでさえ緊張する。やりとりとは言えないようなことでも、近くにいるだけで…
好き。好き。大好き。くぅ君、ずっとずっと好きです。
心の中では何十回、何百回でも言えるのに…
そう思う。いっつも。
あぁ、なんて自分には勇気というものがかけてるんだろうって。
私には今一歩踏み出せない瞬間が多々ある。欲しいものを欲しいと言っていいのか迷って悩んで。迷惑だろうと結局言わない。とか。
好きな人の話をしぃちゃんにすることをできていないのに。
どうしよう…
悩んでいるうちに2人は番号を確認し終えたらしく、どうだった?と聞いてくる。
「あ、ごめん。ぼーっとしてて。今から確認する!」
そして、見てみる。私は、628番。
620、622、625、626、627、628、630、631
あ、あった…。あった!
「あった!受かった!受かったよ!しぃちゃん!くぅ君!」
「おめでとう!まぁ、黒と違っていろははちゃんと勉強してたしぃ?受かるとは思ってたよ!」
ちらっとくぅ君の方を向いた。
「おい、白ちゃぁん?それは俺に向かって喧嘩でも売ってるのかなぁ?」
「売ってる、売ってないは置いといて、買おうとしちゃダメだよ~!」
「いろはが言うんだったら、やめる。黒、いろはに感謝しなよー」
「うっせー!最初にふっかけてきたのおまえだろーが!」
「と、ところで…くぅ君、受かった?」
どうすればいいのかわからず、無理矢理にでも話題を変えてみた。くぅ君は途端に俯き、黙ってしまった。
私は困ってしまい、しぃちゃんに助けを求めようと、しぃちゃんを見た。けど、"どうでもいい"というジェスチャーをするだけ。
するとくぅ君が話し出した。
「いろは、俺な、試験…」
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