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俺は聖の目の前にスマホを掲げ、無理矢理開いたまままの携帯小説を突き付けた。 俺、刈谷匠は趣味・読書という肩書きを持つ高校一年の男子だ。 文字を覚えるために親が寄越した絵本を皮切りに、俺は小さい頃から紙切れの上の文字を追い捲っていた。 それが高校入学祝いにやっと与えて貰えたスマホを手にしてから、とある携帯小説サイトに出会い、嵌まっている。 「このな、"HOSHI"ってクリエーターの書く話が超いいんだよ!」 「恋愛物だろ?興味ねぇよ」 「バッカ、読んでみろって!めっちゃ泣けるって!」 いくつかの投稿作品を読み漁っている内に偶然見付けた"HOSHI"さんの作品。 恋愛物ばかりでは無くて、どれも等身大の高校生を題材にしていて読み易く、感情移入してしまうものばかりだ。 俺は一押ししている"HOSHI"さんの"ウソツキナミダ"という作品を、面倒臭そうに眉をしかめる小学生の頃からの親友にゴリ推しした。
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