2.出会い

3/3
前へ
/14ページ
次へ
チャイムが鳴る直前に、教室のドアが開いた。 ガタガタ ドアの近くの席の私と目が合う。 「うす。」 驚いた顔をしながら、あいさつしてくれた。 いつも無愛想なのに、 ちょっと期待してしまう。 青井 遼 陸上部で、私と同じ長距離の選手。 1年生で出場した大会に全て入賞し、県内の最優秀選手にも選ばれたちょっとした有名人。 無口でストイック。イケメンとは言い難いが、優しい顔をしている。 私にとって、雲の上の存在って感じ。 そんな相手と同じクラス。 私の胸が高鳴る。 さっきまでモヤモヤしていたのに、 「私って単純だな。」 新しいクラスでホームルームが始まろうとしている。 私は窓の外を眺めながら、あの日のことを思い出していた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加