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チャイムが鳴る直前に、教室のドアが開いた。
ガタガタ
ドアの近くの席の私と目が合う。
「うす。」
驚いた顔をしながら、あいさつしてくれた。
いつも無愛想なのに、
ちょっと期待してしまう。
青井 遼
陸上部で、私と同じ長距離の選手。
1年生で出場した大会に全て入賞し、県内の最優秀選手にも選ばれたちょっとした有名人。
無口でストイック。イケメンとは言い難いが、優しい顔をしている。
私にとって、雲の上の存在って感じ。
そんな相手と同じクラス。
私の胸が高鳴る。
さっきまでモヤモヤしていたのに、
「私って単純だな。」
新しいクラスでホームルームが始まろうとしている。
私は窓の外を眺めながら、あの日のことを思い出していた。
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