3.始まり

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今から1年前、陸上部に入って初めての大会。 私は、大会新記録で優勝した。 先輩や仲間も喜んでくれると思っていた。 「先輩の顔をたてて、タイムを調整するべきだったんじゃないの。」 最初にキャプテンに言われた言葉。 女の先輩で、初めてかっこいいと思った憧れのひとの言葉。 聞き間違えだと思った。 確かに、キャプテンは出場する大会で毎回優勝している うちの学校のエースだ。 私もキャプテンのように走りたくて、一生懸命練習してきた。 今回の大会で出した私のタイムは、大会新記録であり、 キャプテンが1年生のときの記録を大きく塗り替える形となった。 キャプテンは1年生と2年生の最高記録を持っていた。 今回の3年生の部でも最高記録で優勝し、この大会初のすべての学年で最高記録を持つ選手となるはずだったらしい。 それが私のせいでなくなってしまった。
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