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煙を吸い込んだ。
煙草の先が少しの間赤く光る。
そして深く、溜息を混ぜて煙を吐きだすと、さっきと同じように左から右へ。
それと同時に彼の、私を抱く腕に力が篭る。
この男のこういうところが嫌いだ。
腹が立つ。
他人の苦しみを共有して、そして一緒に悩み苦しもうとする。
或いはそのフリだけなのかもしれないが。
いずれにせよそれはこの男自身が望んで、あるいは好んでそうしているだけであって、私にはそんなことどうでもいい、一切関係ない。
偽善も慈善も望まれていないのであれば不要なのだ。
それをこの男は理解していて、私に施そうとしている。
……いや、そうやって優しいフリをして、本当は自分が孤独に堪えられないだけなのかもしれない。
寒さに震え、温もりを求めて。
針が更に深く私の体に食い込んでくる。
「……ほんと、ムカつく」
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