第1章

4/11
前へ
/160ページ
次へ
しかし、よく見ると子猫はボロボロだった。 遠目から見ても毛並みはボサボサで、 片耳も少し欠けてるんじゃないだろうか。 その時チラッと俺と目が合った気がした、猫はヨタヨタと俺の方へ近ずいて来た。 俺が不思議に思い足を止めると、猫もその場で足を止めた。 車道の真ん中で。 おかしな猫だな、と思って見ていたら 後方から車が来た。 俺は特に何も考えず まぁ猫だし車来たら逃げるだろう、と思ってまた歩き始めた。 車の音がだんだん近ずいて来る。 何気なくチラッと振り返ると猫はまだこっちを見ていた。 轢かれる。 あの猫は車を避けない。 何故か確信めいたものが頭をよぎった。 俺は走り出していた。 元々猫は好きだし、何より助けられる命が目の前にあるなら助けなければと思ったのだ。 車はスピードを落とさずどんどん近ずいて来る。 猫が見えてないのか? 逃げていくと思っているのだろうか、それにしてもスピード出しすぎじゃないか? 疑問に思いながら走った。 大丈夫間に合う。このまま車道に出て、猫を抱き上げて。向かいの歩道まで走る。間に合うはずだ。 「って、うぎゃっ!」
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加