第1章

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だが俺は猫の前まで来たところで足が絡んだ。猫に向かって飛びつくような形でずっこけた。運動不足が祟ったか。 「……痛ってぇ。」 すぐにこけてる場合じゃないとハッとして。 猫は大丈夫かと顔を上げると猫は目の前で俺を見下ろしていた。 良かった、猫は無事だ。 車に轢かれそうになっている猫を助けようとして、自分で轢いたなんて洒落にもならない。 さすがに車道に人が倒れていたら車も止まるか避けるかするだろう。 そう思って急いで起き上がろうとしながら車の方を見た。 だいぶ距離が近かったためはっきり運転席が見えた。 運転手はハンドルに突っ伏していた。 一目で意識が無いのだと分かった。 「くそっ!」 俺は咄嗟に猫を守るように抱き抱えてギュッと目を瞑った。 瞬間、静寂。 轢かれた____。 そう思ったが、いつまでたっても車は俺にぶつからなかった。恐る恐る俺は目を開けた。 まず視界に入ったのは俺に抱き抱えられた猫、やはり片耳が少し欠けているな。 いや、そんなことより、 と車が来ていた方を見ると壁があった。 真っ白な壁。 というか真っ白な部屋だ。 俺は何故か真っ白な部屋にいた。
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