第1章

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広さは六畳ほどか、と考えていたが ハッとして足元を見た。足は付いている。 大丈夫死んでない。 だがその時俺は見てしまった。俺の足元でぼうっと光を放つ魔法陣を。 「……え?」 何が起きたのかまったく分からない。 こけた時に擦りむいた肘がヒリヒリ痛むので夢でないことは確かだ。 足もついてるし死んだわけじゃない。 たぶん。 「え、ここどこだ?車は?パン屋さんは?」 俺はテンパってキョロキョロしていた。 その時だ。 「あのー。」 急に後ろから声をかけられた。 「うわぁっ、びっくりした!」 声の主はスーツのような服を着た若い女性だった。 明るいが派手な感じのしない茶髪をポニーテイルにしている。 顔はかなり美人な方だと思う。 何だかお姉さんという感じだ。 慌てふためく俺を尻目にお姉さんは続けて話しかけてくる。 「あら驚かせてごめんなさい。名前聞いてもいいかしら?」 急に現れた白い部屋と美人の登場で完全に脳がショートした俺は反射的によろよろ立ち上がりながら、「平田 正樹です。」 と軽く礼をした。 えっへん 日本人は礼儀正しいのだ。 嘘ですテンパってただけです。
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