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本屋さんの恋愛相談
私立ノガミ大学。
多くの学生が出入りするこの学校の正門、その向かい側には一軒の本屋がある。
この店には人魚書店という名前があるが、大学が教科書販売の委託をしているため、学生の多くは「購買の本屋」として認識していて正式名称はあまり認知されていない。
大学近辺にだけ流れるローカルな噂話には、実はこの店の店主が関わっていた。
「ねえ、人魚姫の魔女って知ってる?」
「人魚姫? あの童話の?」
学食でコロッケ定食を食べていた眼鏡で胸の薄い女性、円城寺阿澄は聞き返す。
目の前に居る友人、志村ミユが急にそんなことを急に尋ねたからだ。
ミユはストレートパーマの毛先をなびかせながらペットボトル入りの紅茶とBLTサンドを食べていて、給食じみたメニューの阿澄とは対照的な雰囲気を醸し出していた。
「それじゃないわ。わたしも詳しくはないんだけれど、この近くに願いを叶えてくれる女性が居るらしくて、その人がそう呼ばれているそうなのよ」
「それって、危ない宗教の勧誘とかじゃ無いわよね」
「阿澄は夢の無い事を言うわね。まずは会えたときのことを考えなきゃ」
「アンタねえ……」
「それで、阿澄なら知っているかと思って聞いてみたわけ」
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