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店内を見回すがバイトの人は居ても読子の姿はなく、悪いと思いつつも座敷を覗くとそこにようやく読子の姿を見つけた。
読子は流行遅れの運動ゲームに興じていて、その姿はどこかおかしい。
「こんにちは」
「あら、このあいだの」
ミユは読子にあれから起きたことを話した。
以前の格好で会ってから嘘のようなトントン拍子で佐藤との仲は進展し、すっかり夢が叶ったと言うことを。
うれしそうにのろけ話を聞かせるミユに読子はうんうんと頷いてそれを受け止めた。
「だから言ったとおりでしょう。おしゃれを辞めれば上手くいくって。急なイメチェンに困惑して彼もしりごんで居たのよ。
それに、男の子なんて大半がいかにもおしゃれな格好なんて好かないモノよ。完全武装をして喜ぶのは女慣れしたヤリチン野郎かお坊ちゃんくらいのもので、多くはラフな格好に喜ぶのよ」
「ぴったりです。まるで見てきたみたいだけど、もしかしてそれって……」
「そこはご想像にお任せするわ」
読子の男性観は佐藤の行動とは一致しているが、それが全ての男に当てはまるのかは未知数である。
人魚書店にはある噂がある。
店主の正体は願いを叶える魔女であると。
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