本屋さんの恋愛相談

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「なんで私に」 「前に言ってたじゃん、探偵事務所でバイトしているって」  阿澄はつい溜息をついた。いくら探偵事務所でバイトしていると言っても、すなわち物知りというわけでは当然ないからだ。  まるで漫画に出てくる探偵のように何でも知っているていで聞かれても困ってしまう。  それに阿澄は最初からミユが言う「人魚姫の魔女」を与太話だと思っているため、目の前の友人を残念な人としてしか見られなかった。 「とりあえず知り合いにも聞いてみるよ」 「わかったら教えてね」  阿澄は別の意味で調べなきゃいけないかなと思ったわけだが、一方で阿澄の返事にミユは期待できそうにないなと心の中でつぶやいた。阿澄は多分本気にしていないのだろうなと。  午後の講義に向かった阿澄と別れたミユは、学校周囲で人魚姫に関係ありそうな場所を探すことにした。  目的である件の魔女について、ヒントとなるのは「人魚姫の魔女」という言葉だけ。  もしかしたらその言葉だけが独り歩きしているのかもしれなくても、ミユはそれに頼らざるを得ない。  つい「会いたい」などと呟いていたのか、それを聞いた人にミユは声をかけられた。  場所は大学前の本屋、そこの地図売り場である。     
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