本屋さんの恋愛相談

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「そんなことはないわ。お悩み相談というのは、聞いてあげるだけで充分なのよ。悩みを誰かに吐露するだけで、心の中というのはすっきりするものよ」  ミユは自分に話してくれという読子に対して、もじもじと指先をもてあそんで言葉をつぐんだ。  彼女の願いは他人にホイホイと言えるようならとっくに自己解決していたことだからだろう。 「言えないのかしら?」 「ちょっと恥ずかしくて」 「なら一つだけアドバイスをしてあげるわ。アナタはおしゃれさんだけど、どこか着飾り過ぎているように見えるわね。まるで誰かの受け売りよ」  読子の評価にミユはドキリと背中に汗をかいた。彼女の言うようにミユは着飾っていたからだ。  大学に入るまで女だらけのコミュニティにこもっていたミユは、最近になって初めて異性の気を引くためのおしゃれに手を出していた。  子供の自己満足とは違う大人のおしゃれを意識しすぎていたミユはどこかぎこちない。阿澄たち友人連中は流行に傾倒した程度にしか思っていなかったが、読子は初対面ゆえにその欠点に気づいたのだ。  彼女の願いというのが同じゼミの佐藤某と付き合いたいというもので、少しでも気を引こうとミユは着飾っていた。 「私も偉そうなことを言える訳じゃないけれど、そのパーマなんてまんま雑誌の表紙だしね」     
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