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読子はミユと同じ髪型をしたモデルが表紙になっている女性誌をミユに見せ付けた。
「あ……」
「図星みたいね」
「わたし───」
読子に内心を見破られたミユは彼女に悩みをぶちまけた。
佐藤とは以前は友人として仲が良かったのだが、自分が彼を意識して自分磨きを初めてから彼との関係が上手くいっていないという。
「───努力すればするほどなんだか彼に避けられているみたいで…それで、人魚姫の魔女なら彼の心を射止めたいってわたしの願いを叶えてくれると思ったのよ」
ミユの話を聞き終えた読子は「は~」っと深いため息をついた。
聞いてみればなんてことのない恋愛相談、しかもその原因もおそらく彼女自身にあるのだろうと察したからだ。
こんなことで魔女に願いを叶えてもらおうなんて割に合わないと読子は思う。
「とりあえず、しばらくのあいだその格好を辞めて様子を見ましょうか。雑誌で学んだおしゃれ知識なんて全部捨てて、一度彼と出会った頃の姿で接してあげなさい」
「そんなことをして意味があるの?」
「騙されたと思ってやってみなさい。上手くいかないようならまたここに来てくれれば次の手を考えてあげるわよ」
「そんな……それで余計に避けられら、アナタに責任がとれるわけないじゃない」
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