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「だから?カルディネはカルディネだ。
カルディネの言う孤児だと、捨て子だと、カルディネではなくなるのか?
俺にはどうしても、そうは思えないが?
それに俺が聞きたいのは返事であって、今のカルディネの気持ちだ」
閃は平然と、あたしの叫びに返していた。
…馬鹿みたいだ…
「あたし…で…良いなら…」
あたしの素直な言葉は、閃には別に聞こえた様だ。
何処からか取り出した、蛇腹折の紙でスパンと叩かれた。
後で、ハリセンと呼ぶことを知った。
「カルディネが良いんだ。
自分に自信を持てなくてどうする!
そこは、しょうがないから閃と結婚してやっても良い、位を言っとけ」
閃の言葉に、不覚にもあたしは泣かされた。
泣き崩れるあたしに閃がオロオロしているのは、泣きながらも少しだけ笑えた。
医療ギルドの酒場では、閃の払いでその日は豪遊となった。
周囲からの祝福の言葉が、妙に擽ったかった。
今…少しだけ…いえ、かなり…
豪雨の日が好きになれた。
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