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「ぷっ…あたいらの乱入に驚いて、思考停止!?
んなんじゃ、閃のパートナーはキツイよ?」
そう言って、二人はエールを頼んで、飲み始めていた。
二人にはラルドも話しかけており、俺の話題で盛り上ってる様だった。
外を見れば、先ほどの豪雨が嘘のように消え去り、満天の星空が上空を占領していた。
そこに駆け込んできたのは、カルディネも知ってる人物だった。
ただ、その背後の人物は?と言えば、カルディネ以外の全員が知ってる人物だった。
「森の徘徊者様がプロポーズですって!!」
リスティア・メル・ブランチ…魔眼症の治療を俺がした人物であり、この国の姫らしい。
まぁお転婆さ加減で言えば、自称勇者を単独でフルボッコにしようとする程度のアグレッシブさ。
彼女の背後に居るのは、アルガス・メル・ブランチさん。
より判りやすく説明するとすれば、ここブランチ国の国王様だ。
その存在に気付いたラルドさん達が、慌てて跪く。
それを見た周囲の人達も、ようやく状況に気付いて次々に跪いていく。
俺?俺なら真っ先に気づいて跪いていたよ?
だって、入ってくる前から気配で察してたし。
カルディネも何となくだろうけど、俺の動作で察したみたいだ。
「来生殿…そんな…跪くなどしなくて良い。
ワシが跪いても良い位、来生殿には助けられておるでな。
他の皆も今日は構わないから、普段通りにしてくれ」
王様の一言に、全員が額面道りに受け取って良いかの、判断が付いていない。
「皆…国王様はそうお望みだ。
普段なら駄目だろうが、この場に限っては問題ないと思う」
俺がそう言って立ち上がると、エールのグラスを手に王様に駆け寄る。
「国王様…皆も混乱しますから。
せめて扮装して来て下さいよ。
まったく…」
俺のボヤキを王様は、豪快に笑い飛ばしていた。
その様子を見て、ようやく皆も平常運転を再開していた。
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