37.気付けば人…人…人?…

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国王様の参戦で混乱した酒場も、2時間も経過すれば落ち着きを見せていたが、ここに来て、更に乱入する人物が居た。 「やぁ!閃さん! 聞きましたよ…まさか今日だとは思いもしませんでした!」 そう。 乱入してきたのはドルーガさん。 SENブランド正規取扱い店と名高い、道具屋さんの店主。 その背後には、仲間と思われる人達がリヤカーを持ち込んでおり、その荷台には酒樽が山のように積まれている。 その酒樽を酒場に転がして、勝手に配り始めた。 「お世話になってる閃さんの晴れ舞台! これ位の事はさせて下さい! みんな!飲んでくれ!!」 ドルーガさんは、その酒を配りながら叫んだものだから、そりゃ更なる炎上を誘う訳さ。 もう、酒場は足の踏み場もない位の混乱期に入った。 ドルーガさんも飲み始めるから、収拾が付かない。 ただでさえ厄介になりつつある酒場に、更に… 「師匠ぉーーー!!!!」 と、叫びながら転がり込んできたのは、シルバ君。 いつぞやの弟子だった。 シルバ君は今では医療ギルドで活躍する薬草収集人で、その医療に対する真摯さでは、誰も疑わない程の信頼を得るに至っている。 そのシルバ君は、より厄介な状況を作り出していた。 それは… 「はーい!皆さん!潰れる前にはコレ!飲みましょう!」 そう言って配っているのは、酔い覚ましであり、同時にアルコール分解薬。 どんな酔っ払いも10分で正気に戻る秘薬だったりする。 このシルバ君の参戦で、今まで酔い潰れて居た静かな奴も、早々に戦線復帰。 もう、騒がしい所じゃない。 そこに、更なる騒がしさの人がやってきた。 「閃!噂がワシの街まで届いたぞ!めでてーな!オイ!」 ジャンヌさんである。 ディリスの街で海漁船の船長をしている筈の彼が、何故かこのタイミングで参戦したのだ。
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