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…ちょ…あれ…あの量って…
「気にすんな!ワシからも手土産は持ってきとる!」
ジャンヌさんの号令で、少しだけ魔力の回復した横の青年が、ボックスから取り出したのは、一本のとんでもない大きさの魚。
「見間違いよね…ジェリーフィッシュに見えるわ…」
カルディネの呟きに、俺も見間違いと答えたい。
だが、海の至宝とまで言わせるジェリーフィッシュを、見間違えるアホは居ない。
それも、あの大きさだぞ…
「ジャンヌさん!!!
手土産ってあんた!
船員の努力の結晶でもあるでしょぉ!!!
船員達にこそ振舞って下さいよ!!!」
俺の叫びにシーンと酒場が静まり返るが、ジャンヌさんは豪快に笑い始めた。
「閃…おぬしアホか!
ワシの船には、漢気溢れるオヌシに贈る選択肢以外を持つ馬鹿はおらん!!
逆に船員から袋叩きにされろとでも言うのか?
ワシの海漁船一同の総意じゃ!」
そう言って、ジャンヌさんが取り出した大刀で、一気にジェリーフィッシュを斬ると、赤身とトロの部分を皿に盛って、俺とカルディネに突き出す。
俺とカルディネは、思わぬご馳走に手を付ける。
「船員の皆さんに、美味しく頂きましたと、伝えてもらえますか?」
俺の言葉に、ジャンヌさんは笑う。
「オヌシら程、旨そうに食う奴を見たこと無いわい。
ワシら海漁船乗りには、その旨そうに食う顔こそ最高の褒美じゃ!
ほれ!オヌシ達も閃の友人じゃろ!喰え喰え!!」
ジャンヌさんの一言で、全員が魚に手を伸ばしていた。
…国王様…そんなにガッつかなくとも…
…貴方なら普通に献上品がありますよ…
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