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いやいやいや、ちょっと待て。一難去ってまた一難とはこの事だ。
せっかく混沌の魔王さんからの驚異を逃れたってのにまた死にそうになってんじゃねぇか!
「なあなあゾンビさん、処刑ってのは具体的に何されるんですか?」
「首を落とす。もしくは焼くことになるだろう」
「で、ですよねー……」
ピーンチ!
冷や汗が頬を伝う感触……。俺はこの状況を打破するべく、脳内をフル回転させた。
「なあなあゾンビさん」
「なんだ?」
「お前ら今さ、こうやって俺のこと縛り付けてるけども。これ結構意味無いぜ?」
「どういうことだ?」
できるだけ、焦りを隠して不敵に笑って見せる。
「お前らの主、混沌の魔王……確かにやつは強かった」
一撃だったけど。
「でも、忘れてはいねぇか? やつを倒したのは紛れもなく、俺なんだよ」
今までされるがままにここまで運ばれた俺だったが、突如として態度を変えたことによりゾンビたちは「こいつヤベェ」といった表情を向けてきた。
そうだ、この調子だ。
「な、何が言いたい?」
「簡単なことだ。いいか、しっかりと想像力を働かせて聞けよ?」
フッフッフと笑う。できるだけ、強気に。
「俺が少し、この抑えられている腕に力を入れれば拘束を解くことは容易いのだ」
俺を抑えるゾンビ二人が焦った顔でお互いの顔を見合わせる。
俺は続ける。
「俺がスキルを発動すれば、ここにいる全ての魔物たちを蹴散らすことさえも可能なのだよ!」
俺がそう言い放つと、その場にいた全てのゾンビたちがざわつき出した。
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