序章

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まぶたが重い。体も動かない。 まるで深い泥沼にでも浸かっているような気分だ。 昨夜はたしか、同僚たちと飲み明かし、将来のこと、会社のことなどを酒の肴にこれでもかと言うほど胃袋に酒を送り込んで……で、そっから、なんだっけ? 駄目だ、そこからの記憶がねぇ。 飲んだ記憶しかねぇ。 その後、その後……帰ったっけ? いや帰ってないな。 確か確か……タクシー呼んで、いや呼んでない? これさえ思い出せないとは相当飲んだんだろうな。 あ、そうだ。 同僚に見送られながらコントロール不能な足で電車に乗って、乗ってないわ。 電車が来たから乗ろうと思ったけどちょっと足出すのが早かったみたいでそのまま線路に落ちて……って、あ。 そうだ。 俺、死んだんだった。
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