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冷たく言い放つ男の目は宝石のように青く、感情というものが存在しないのではないかと錯覚してしまうほどだった。
その目に睨まれ、大男は怯み、先程までカイザーにぶつけていた勢いを無くしてしまう。
「元々、精鋭部隊の持つ無敗の記録などどうでもいい。俺たちは任務を全うすればそれでいい。精鋭部隊だから、という役職贔屓は己の品格を下げるぞ……ガードナー」
「……ッチ」
正論だと分かっていながらも、プライドがそれを許さず、かと言ってやはり言い返すこともできないため、ガードナーと呼ばれた大男はバツの悪そうな顔で舌打ちし視線を逸らした。
「ソーサラー。お前も今回の反省を忘れるな。相手が悪かろうが、それでも結果を残せなかったお前が悪い。その点で言うと、ガードナーの方が正しいと言える」
「ああ、そうだな……承知している……」
ついで、カイザーにも指摘が入る。その言葉を受け、カイザーは先程のガードナーとの会話を振り返り、ムキになるのは悪い癖だったと反省する。
それと同時に、この銀髪の男に恐怖に近いものを感じていた。
ガードナー、そしてソーサラーである自分たちに、対等どころか上から注意をして言い負かすことが出来るのは精鋭部隊の中でもこの男だけだろう。
それだけ、この男には底のしれない何かがある。
王都精鋭部隊、『勇者』の称号を持つ男、ジャス・ギンジ。
彼はカイザーたちに一切の興味を無くしたかのように、感情の無い視線を、テーブルの先に座る老人に送っていた。
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