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次の日。
起きたのは良いが、体が動かない。それもその筈、俺の体はサクラの部屋の前の柱に、胴回りを中心にロープでくくりつけられていたからだ。
全身が痛い。筋肉痛以外にも、外傷から来る痛みが追加され昨日よりもさらに痛い。
「魔王が人を殺さないのは信じていたが……別の意味で警戒しないといけないな」
そんな俺をサクラとセリーゼが囲んでいる。二人はまるで変質者を見る目をしていた。
「サクラ、何でこんなことになったか、本当はわかってるんだろ? さっさとマンドラゴラを捨てろ!」
俺の必死の言葉に、サクラはわざとらしく視線をそらすだけだった。が、その反応に俺の抱いていた疑問は解決した。
こいつ、マンドラゴラを守るためだけに俺を犠牲にしたのか……?
「……セリーゼ、変質者が何か言ってますが聞く耳を持った方がいいでしょうか?」
「いや、どうせ適当な理由で誤魔化そうとしているだけだぞ。気を付けろ」
待て、誤魔化そうとしているのはソイツだ。
「ですよね。流石は王女です。悪、即、斬。悪人にはそれ相応の罰が必要ですね。任せてください」
「わかった!」
「逆にこんな理不尽な仕打ち受けてキレない俺凄くない? そこを誉めるべきだと思う」
その言葉の直後、一瞬の寒気と同時に俺の視界は暗転し、次に目を覚ましたのは昼を過ぎてからだった。
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