第十五話:魔物狩り

14/24
前へ
/482ページ
次へ
次の日。 起きたのは良いが、体が動かない。それもその筈、俺の体はサクラの部屋の前の柱に、胴回りを中心にロープでくくりつけられていたからだ。 全身が痛い。筋肉痛以外にも、外傷から来る痛みが追加され昨日よりもさらに痛い。 「魔王が人を殺さないのは信じていたが……別の意味で警戒しないといけないな」 そんな俺をサクラとセリーゼが囲んでいる。二人はまるで変質者を見る目をしていた。 「サクラ、何でこんなことになったか、本当はわかってるんだろ? さっさとマンドラゴラを捨てろ!」 俺の必死の言葉に、サクラはわざとらしく視線をそらすだけだった。が、その反応に俺の抱いていた疑問は解決した。 こいつ、マンドラゴラを守るためだけに俺を犠牲にしたのか……? 「……セリーゼ、変質者が何か言ってますが聞く耳を持った方がいいでしょうか?」 「いや、どうせ適当な理由で誤魔化そうとしているだけだぞ。気を付けろ」 待て、誤魔化そうとしているのはソイツだ。 「ですよね。流石は王女です。悪、即、斬。悪人にはそれ相応の罰が必要ですね。任せてください」 「わかった!」 「逆にこんな理不尽な仕打ち受けてキレない俺凄くない? そこを誉めるべきだと思う」 その言葉の直後、一瞬の寒気と同時に俺の視界は暗転し、次に目を覚ましたのは昼を過ぎてからだった。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加