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「もう! お兄ちゃんがいつまでもそんなだから、神様にお願いしてちょっと早めに会いに来たんだよ?」
「……え?」
訳が分からないでいる僕に、にっこりと微笑み掛ける少女。
「あ、さっき撮ってくれた写真、大事に取っておいてね? 後でちゃんと約束通り私に頂戴」
「写真て……あ、スマホ!」
僕のスマホは、案の定地面の上に転がされていた。
機種変をしたばかりだと言うのに、早々にキズを付けてしまったに違いない。
データは多分問題ないだろうが。
「分かったよ、今度プリントアウトして来るから。だから……」
その時、ふわりと優しい風が吹いた。
「今日はきっと良い日になるよ。じゃあ、また後で」
そんな言葉にふと振り向くと、先程まで目の前にいた筈の少女の姿は跡形もなく消え去っていた。
「美希……?」
呆然とする僕の耳に、覚えのある着信音が聞こえて来た。
はっと我に返った僕はスマホへと走り寄った。
拾い上げて発信元を見るなり、慌てて電話に出る。
「もしもし……え? あ、はい! すぐに向かいます!」
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