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今日も水平線から太陽が顔を出す。
高台から一人、その朝日を見るのが僕の日課だ。
けれども、今日は珍しく先客がいた。
まだあどけなさの残る十歳くらいの女の子だ。
こんな朝早くに、しかも一人で。
子供らしからぬ、暗く沈んだ神妙な面持ち。
この先は崖に続いていて、進入禁止の立て札が立っているのだが……
「まさか……な」
思わず浮かんだ絶対にあってはならない想像に、僕は大きく頭(かぶり)を振った。
その時ふと、少女が僕に気付いた。
そして、はにかんだ笑顔で「おはよう」と声を掛けてきた。
僕も反射的に「あ、おはよう」と挨拶を返す。
「驚いた、こんなに朝早くからこんな所に子供がいるなんて。親と来たの? まさか一人じゃないよね?」
そう聞かれて、少女は少し困ったように小首を傾げた。
「親? んー、一応いるにはいるけど」
「一応って……どこ? ここは少し行くと崖になってるんだ。危ないから早く親の所に戻りなよ」
「大丈夫大丈夫、今はお兄さんもいるじゃない! ねぇねぇ、この辺詳しいの? 案内してよ」
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