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美咲は布団に包まって、普段は観ないニュース番組を観ていた。
あの男の言うことを完全に信じたわけではなかったが、気にしてはいる。
「【スラッシュ】が解散するなんて信じられない。
今、人気絶頂なのに……」
そう美咲が思っていると、無情にもテレビの向こうのキャスターが言葉を紡ぐ。
『芸能ニュースの時間です。
たった今入ったニュースです。
なんと【スラッシュ】が解散を宣言しました』
美咲は声も出せず、ただ目を大きく開いた。
ニュースは続いていたが、もう美咲の耳には入ってこない。
「嘘……。
あの人が言った事が全部本当になってる……。
それじゃ、私が死んじゃうってのも……」
その時、ノックの音が聞こえた。
この部屋にはインターフォンが付いているのに、ノックの音がしている。
「ま、ま、まさか……」
ノックの音は徐々に大きくなる。
その音と比例するように、美咲の心臓も大きく跳ねた。
「に、逃げなきゃ……、殺される……」
まだノックの音は続いている。
「嫌だ……、痛いのも、乱暴されるのも嫌だ……。
何処から……、何処から逃げれば……」
美咲は部屋を見回す。
「そうだ!
窓!」
美咲は半狂乱になって、窓から跳び出した。
そして美咲の意識は途絶えた。
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